“日本酒離れ”に挑戦する酒蔵

老舗神戸酒心館の入り口

 

イベントホール「豊明蔵」で挨拶される安福武之助当主。

 2月10日、社団法人清交社が主催する「手造り新酒を賞味する集い」に参加してきました。場所は、1751年(宝暦元年) 創業の老舗神戸酒心館(神戸市東灘区御影塚町)です。安福武之助代表取締役社長が第14代の当主 。
  参加したのは、清交社参与の尾亀清四郎先生の紹介でしたが、日本酒が衰退する中、神戸酒心館は酒造りを通じて地域文化の振興にも力を入れ、“日本酒離れ”に歯止めをかけようと取り組まれている神戸酒心館にも関心があったので良い機会と参加しました。
  神戸酒心館は、第二次世界大戦で酒蔵全てを焼失。昭和23年11月に再建し、「株式会社安福武之助商店」として発足。しかし、平成7年1月の阪神淡路大震災では木造酒蔵の全てが倒壊。再びの復興で、平成9年12月に醸造棟だけでなく旧酒蔵を修復し、音楽コンサートなどが行えるイベントホール「豊明蔵」を備え、最近では、クラシック・ジャズ、桂文珍落語会、津軽三味線、雛人形展と多彩な催しをしています。その他、東明蔵では、全国から取り寄せた酒肴の即売や会席料理が楽しめる水明蔵など楽しめる施設があります。二度の災害にもめげず頑張っておられる姿勢に敬意を評します。

神戸酒心館の紹介が長くなりましたが、
  国税庁調査の21年度酒類販売量(消費)は、清酒61.7万㌔㍑、焼酎96.1万㌔㍑、ビール284.4万㌔㍑、発泡酒111.7万㌔㍑、リキュール149.5万㌔㍑、ウイスキー・ブランデー9.2万㌔㍑。ビールは平成7年の705.7万㌔㍑をピークに4割に急減しましたが、発泡酒やリキュールがその代わりをしています。
  日本酒のピークは、昭和50年の167.5万㌔㍑から比較しても3.6割にすぎません。日本酒の減少は、焼酎への移行、若者のアルコール離れ、低価格志向などがあげられます。
都道府県別の22年売上高(東京商工リサーチ調べ)では、兵庫県が1152億3400万円でトップ。京都府が433億7400万円、新潟県が289億7800万円。毎年、売り上げも減少し、日本酒の消費減少に歯止めがかからなくなっています。
  日本酒メーカーの売上ベスト3は白鶴酒造(神戸市)の340億4700万円、月桂冠(京都市)が294億100万円、大関(西宮市)が225億7700万円ですが、すべて減収。その中で、上位20社のうち増収だったのは、加藤吉平商店(鯖江市)だけでした。「同社は国内外の日本酒コンテスト入賞などで知名度を高め、海外の法人や国内の富裕層への拡販策が奏功している」と東京商工リサーチは分析しています。外国人も、日本酒を「ジャパニーズワイン」と飲みやすい酒として好評ですから販路を海外に求めることも必要ですが、本当に良質な日本酒は、日本酒をこよなく愛する人から支持を受け日本から衰退することはありません。
  “日本酒離れ”に歯止めをかけようと努力されている皆さんの地域の蔵元を応援していきましょう。

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